堀辰雄(ほり たつお) 明治37―昭和28(1904―1953)
小説家。東京生まれ。東大国文科卒。芥川龍之介、室生犀星に師事。コクトーらの近代フランス文学の影響を受けて出発するが、のちにリルケやプルーストなどの西欧文学と日本の古典的伝統とを融合した独自の作風を開いた。作品に『聖家族』『菜穂子』『かげろふの日記』『曠野』などがある。(全集あり)
堀辰雄は19歳の第一高等学校生だった1923年(大正12)、室生犀星に伴われて初めて軽井沢を訪れた。その時の印象を友人神西清に宛て「道で出遇うものは、異人さんたちと異国語ばっかりだ」と書き送った。以後、軽井沢での滞在を繰り返し、1944年(昭和19)以降は追分で病床生活に入る。『ルウベンスの偽画』『美しい村』『風立ちぬ』『大和路・信濃路』「ふるさとびと」「雪の上の足跡」など軽井沢を舞台にした多くの作品を残した。1953年(昭和28)5月28日、追分の自宅で病没。『風立ちぬ』終章は1937年(昭和12)冬、軽井沢の川端康成別荘において完成された。